[単純プール型階段式魚道]

 

―岩組階段式魚道・コンクリートブロック階段式魚道の評価―

 

 


 

単純プール型岩組階段式魚道

 

階段壁 現場コンクリート基礎・岩組

 

施工前

 

施工後

 

基本形

平面図

断面図

 

カジカ・ハゼ類の底生魚のそ上ルートとして、両サイドにコンクリートと石張りによるスロープ水路を設けている。

 

孫谷川魚道(今庄町孫谷)の観測結果

 

● 考 察 ● 

魚道設置前にはいなかったアユ・カワムツが最上流まで分布していることから、本魚道をそ上できたことは明らかである。

 


 

単純プール型コンクリートブロック階段式魚道

 

階段壁 二次製品コンクリートブロック製

 

施工前

 

施工後

 

平面図

 

A−A’断面図

 

階 段 壁

2次製品コンクリートブロックを組み立てたもの。

 

一光川魚道(福井市大丹生)の観測結果

魚道内にいたアユの個数体

 

● 考 察 ● 

魚道プール内に留まっているアユは、最上流すべてに分布していることからアユが本魚道をそ上できたことは明らかである。

 


 

そ上観測結果

 

そ上していくアユは、水中カメラによってもれなくとらえられ、離れた場所にあるTVモニターに映し出される。

 

そ上観測装置

 


 

TVモニターを見ながらそ上した魚の数を時刻ごとに計測した結果
[
判定]本魚道はアユが容易にそ上できる魚道である。

 

一光川1号魚道 そ上観測結果
1998.4.28
(金)

 

一光川3号魚道 そ上観測結果
1998.5.19
(火)

 


 

すぐれた階段式魚道の条件と各魚道の評価 ◎とても良好○良好△課題が残る

No.

条件項目

岩組階段式
魚道の効果判定

評価

コンクリートブロック階段式
魚道の効果判定

評価

1

呼び水が魚道の入り口にあること。

魚道の入口と呼び水は同一となる構造である。

魚道の入り口と呼び水は同一となる構造である。

2

魚道の位置が上下流の水筋と合致すること。

魚道の上下に深みを設置して維持されるようになっているので、魚道の流れと上下流の澪筋が常に一致する構造である。

魚道の上下に深みを設置して維持されるようになっているので、魚道の流れと上下流の澪筋が常に一致する構造である。

3

魚道の入り口に深み(魚溜りプール)があること。

魚道の下流に深みを設けてある。

魚道の下流に深みを設け、水流により自動的に維持されるようになっている。

4

魚道の途中途中に休息プールがあること。(休息と助走の場となる。)

各プールは設置後1年を経過した現在も埋塞せずに充分な深みが自動的に維持されている。

中央部は埋塞せず深みが保たれている。

5

一つ一つの階段落差が40cm以下であること。(超流流速が対象魚の突進速度を上回らないように、またアユの平均ジャンプ高40cmを上回らないように)

階段落差を22cmに設定している。

階段落差を20cm〜30cmに設定している。

6

プールの落差水流の減勢に必要な大きさを持つこと。

中央越流部の両脇に充分な大きさのプールが発生している。

充分な大きさのプールがある。

7

階段落差の越流部は水平でなく不定形にすること。

全断面を越流させるのではなく、中央に越流部を設けている。
本堤コンクリートについては天端をカットして、中央部のレベルを下げている。

全断面を越流させるのではなく、中央に越流部を設けている。
本堤コンクリートについては天端をカットして、中央部のレベルを下げる改良を要する。

8

階段落差の越流部は下流側を切り欠けしてなめらかな水流にすること。

越流部はコンクリート構造によって滑らかな切り欠き形状にしている。

越流部は滑らかな切り欠け形状である。

9

水流が泡だらけにならないこと。(泡が多いと魚は浮力・推進力を取れずに泳げない。)

越流部はコンクリート構造による滑らかな切り欠き形状になっているので、越流による泡の発生は最小限に抑えられている。

2次製品コンクリートブロックの滑らかな切り欠き構造により、越流による泡の発生は最小限に抑えられている。

10

水流が乱れないこと。そ上ルートとなる流線(水流の道筋)が明確に生じていること。(魚が目指す方向を失わないために)

明確かつ滑らかな流線(水流の道筋)が発生している。

明確かつ滑らかな流線(水流の道筋)が中央に発生している。

11

景観性が良いか。

渓流環境に適した景観を実現できた。

人工的景観である。

12

経済性が良いか。

自然渓流プール型階段式に比べ費用が安い。

費用が安い。(落差1.0m工事費C≒3000千円)

13

施工性が良いか。

良い。多少熟練を要する。

施工が容易である。

14

維持管理を必要とするか。

ほとんど必要としない。

土石流によるコンクリートの破損の恐れ有り。

15

追跡調査による(生態調査)による効果判定。

容易にそ上できる。

容易にそ上できる。

 

上記資料は福井県雪対策建設技術研究所発行の環境土木通信Vol 9(01.1999)より転載しました。

トップページへ戻るボタン

このページのトップへ戻るボタン

Copyright (C) 2001 All Right Reserved