生態調査の予備知識 その3 |
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−河川の植物− |
日野川豊橋からの風景(武生市) |
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現在も豊かな植生が残っている。 |
河川の植物 |
河川には河川特有の植物たちが生育しています。以下によく見られる種類を紹介します。 |
@ 水際で見られる種類 |
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A 湿地(ワンド)で見られる種類 |
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B 乾燥した礫地などで見られる種類 |
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C 土砂が堆積した場所で見られる種類 |
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D 高水敷部で見られる種類 |
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E 河川で見られる樹木 |
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河川における植生分布の基礎知識 |
◆ 川の流れに適応した分布 |
上 流 域 |
中 流 域 |
下 流 域 |
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侵食の激しい上流域では、ネコヤナギやツルヨシのように、強い根やしなやかな枝などに対する抵抗性を持つ種類が生育する。 |
礫や砂が堆積しはじめる中流域では、洪水頻度や堆積物の栄養状態に応じた種類が生育する。特に中州では特徴的な植生分布が見られる。(右図) |
流れが緩やかで土砂の堆積が多いが下流域では、泥質な湿地状の場所にはヨシ、マコミモ、ガマ類など、流水辺にはミゾソバなどタデ科植物がよく見られる。 |
◆ 典型的な中州の植生分布 |
場所によって植生の差がある |
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河原によってこの3つ植物帯の割合が異なり、中流部では安定帯がないか極めて狭小である。急流河川では植物の定着ができず広大な礫原のみとなり、河川植生の特異性が認められる。 |
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河床がヨシで覆われる |
河川改良により平坦化した河床はヨシに好まれ川全体がヨシ原でおおいつくされている風景が河床に見られるようになった。 |
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ツルヨシ |
【環境に適応するツルヨシ】 |
ワンドの形態 |
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本来なら中〜下流域ではこのような中州や湾処(ワンド)などの多様な河川形態が見られるはずである。 |
◆ 河川植生の4つの機能 |
@ 生態学的機能 |
多様な動植物の生息空間 |
A 治水機能 |
水際の土壌浸食防止 |
B 浄化機能 |
水質の浄化 |
C 景観機能 |
緑豊かな美しい風景 |
◆ 生活場所の違いによる植生の分類 |
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変化に富んだ環境においては、生育する植物の生活型も種類も多様になります。環境が単純になるほど多様性は失われてしまいます。 |
多自然型川づくりにおける植生調査 |
◆ 多自然型河川工法での工事例(魚見川:池田町菅生地係) |
池田町を流れる魚見川では、自然環境に配慮した多自然型河川工法による護岸工事が行われた。その結果、河川形態が多様化し裸地だった場所も年月とともに多様な植生がにおおわれてきた。多様な生物の生息生育環境が実現した。 |
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1995年11月の状況工事完成直後 |
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1998年6月の状況(2年7ヶ月後) |
施工前、この区間では護岸工事が続いたため、長い間植生の入りにくい単純な環境であった。 |
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施工から3年がたち、ツルヨシ、ミゾソバ、アカソなどの植物が多く見られるようになった。(植生の多様化) |
◆ 植生調査の方法 |
河川にかぎらず、そこに生息する植物を調べるためには専門的な知識が必要である。 |
植生調査で用いられる方形枠 |
植生調査中 |
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調査結果をまとめた群落組成調査表 |
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5:被度がコドラート面積の3/4以上占めているもの |
参考・引用文献 |
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監修・写真提供: |
斎藤寛昭 |
編 集 協 力: |
森 照代 |
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