開繊技術を活用した熱硬化性薄層プリプレグシートの研究

分野 複合材料(開繊加工技術、熱硬化性樹脂、薄層中間基材)
テーマ名 世界最薄レベルの熱硬化性薄層プリプレグシートの開発
目的  今日までコストや生産性の問題から炭素繊維複合材料の進出が難しかった輸送分野(自動車、鉄道車両等)、エネルギー分野(風力発電)などへの新規参入を促進するため、製造工程の低コスト化と高性能を両立した熱硬化性薄層中間基材の新たな製造技術の開発を目指す。
成果  複合材料の母材となるエポキシ樹脂の配合技術から樹脂の薄膜塗工技術、さらには炭素繊維束等の強化繊維束を幅広く薄くする「開繊技術」を活用したプリプレグ製造技術の一連の研究開発を行い、以下の技術を確立した。
  1. 多官能エポキシ樹脂の配合を調整することにより、一般産業用途向けの耐熱性(Tg)110℃から航空・宇宙用途に適用可能な耐熱性200℃まで、用途・目的に応じた樹脂の配合技術を確立した。
  2. エポキシ樹脂の粘度を最適化することで、10〜40 g/m²(厚さ 8〜33 µm)の薄層樹脂シートを加工速度10 m/minで塗工する技術を確立した(図1)。
  3. 世界最薄レベルの熱硬化性薄層プリプレグシート(炭素繊維/エポキシ樹脂:厚さ20 µm(0.02mm)、繊維体積含有率 60%)を、従来の加工速度の約3倍となる10 m/minで加工する技術を確立した(図2)。
    さらに、開発した世界最薄レベルの熱可塑性薄層プリプレグシートを使った擬似等方性積層板については、曲げ方向に対しても方向性が小さくなり等方性材料に近づくことを実証した。
 これらの一連の加工技術の開発により、製造工程の低コスト化と高性能を両立させた熱硬化性薄層プリプレグシートが実現した。
図1 10g/m²の薄層樹脂シートの塗布状態 図2 熱硬化性プリプレグシートの試作状態
(加工速度10m/min)
担当
研究者
川邊和正(専門分野:繊維技術、糸加工), 先端複合材料研究G
近藤慶一(専門分野:複合材料、化学), 先端複合材料研究G
伊與寛史(専門分野:複合材料), 先端複合材料研究G