ふくい宇宙産業創出研究会WG(その6)開催報告

− イノベーション・リサーチ(IR)交流会 −
「宇宙産業参入促進セミナー」 開催

 ふくいオープンイノベーション推進機構では、県内ものづくり企業に対し、宇宙産業でのニーズなど最先端の情報を提供することにより、宇宙産業への参入を支援していくこととし、「ふくい宇宙産業創出研究会」を設立し、産業化に向けた情報提供・意見交換を行っています。この一環で、平成29年1月27日(金)に、国際的な月面機探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一挑戦するチーム HAKUTOの代表である株式会 ispace 代表取締役 袴田武史 氏をお招きし下記日程でイノベーション・リサーチ(IR)交流会(WGその6)を開催しましたので、その内容を報告します。


あいさつ

 ふくいオープンイノベーション推進機構(FOIP)のイノベーション・リサーチ交流会として、ディレクタ(福井県工業技術センター所長)がFOIPの現状報告を兼ねて挨拶をしました。

FOIP現状

ご挨拶

1.招待講演

月面無人機探査開発を通じた全世界コンテストへの挑戦
 〜チームHAKUTOの取り組みとこれからの製造業企業へ期待すること〜
        HAKUTO代表/株式会社ispace 代表取締役 袴田武史 氏
 袴田さんの「映画・スターウォーズに強い影響を受けた」との自己紹介から講演は始まりました。

(1)賞金レースによるイノベーションの加速
 イノベーションの加速の理由として、Google Lunar XPRIZEの概要が説明されました。Googleがスポンサーとなり、XPRIZE財団により、打ち上げ期限を2017年末として、「政府の援助を受けない民間資本によること」が条件の、〃醋未縫蹈椒奪斑戯叉,鮹緡Δ気擦襪海函↓着陸地点から500m以上移動させること、7醋未硫菫/映像を地球に送信することミッション達成を競う、国際賞金レースが紹介されました。
 1位は日本円で20億円、2位は5億円とのことです。このほか、夜間サバイバルに成功(月で夜に耐える)することや、水の発見、アポロ計画の痕跡発見などのボーナス賞などが用意されている総額30億円の賞金レースです。昨年末まで、世界各国から16チームがエントリーしており、最近、ファイナリスト5チーム(HAKUTO、Moon Express、TeamIndus、Synergy MooN、Space IL)が発表されています。
 ラリー・ペイジの言葉として、「月に行くこと」は「大きな志をもった小さなチームが共に月を目指していることに興奮します」などが紹介されました。XPRIZE財団が着想を得たきっかけはリンドバーグによる1927年に大西洋単独無着陸飛行で、実はこれも賞金レースだったとのこと。さらに、XPRIZE財団が最初に開催したレースは、ANSARI XPRIZEでという民間で宇宙旅行の機体開発した、100人ぐらいのベンチャー企業が受賞したチームであり、優勝後にVirginグループの宇宙旅行ビジネスへとつながっているイノベーションや、このほかの競合者で切磋琢磨している事例が紹介されています。このような賞金レース事例、米国では盛んであり、世界最先端では自律走行する自動車、Cube Quest CHALLENGEがあることが紹介されています。

袴田氏ご講演

熱心に聞き入る会場の様子

HAKUTO Rover Fight Model



(2)Team HAKUTO
  「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」として、auに通信技術で技術支援を受け、HAKUTOが挑戦する月面レースが紹介されました。Google Lunar XPRIZEでは、2016年時点で世界10カ国以上、16チームが参加しています。このミッション成功条件としては、〃醋未暴稾唄岾発ロボット探査機を着陸させる、着陸地点から500m以上移動する、9皺鯀度の動画や静止画データを地球に送信する、等が報告されました。
 人類初のレースに挑む日本唯一のチーム HAKUTO『ちょっと月面、走ってきます』をキャッチフレーズとしてチーム構成条件は、\こΔ鬟蝓璽匹垢襯蹈椒奪筏蚕僂鮖つ事、⊃契ぢ紊留宙産業を担うスタートアップであること、B人誉のあるPro BONO メンバーであることなどが示されています。同チームは、米国NASAが900kg、米国の民間企業が30kgのローバー製造に対し、HAKUTO(ispace)は4kgの超軽量ローバー、即ち、世界最小かつ最軽量の惑星探査ローバー製造を強みとしていることで、このことに関してモビリティサブシステム中間賞を受賞しています。さらに特筆することとしては、フライトモデルに民生品を使用していることです。
 同チームは2010年9月に日本で活動開始し、2017年にチームインダスと共にPSLVでの打上げを目指し、月面の「雨の海」と呼ばれる地域に着陸させるとの事でした。
 ここで、HAKUTOサポーターズクラブのご紹介がありました。HAKUTOを応援する会員制の組織とのことで、ご興味のある方はリンクをご参照下さい。


(3)宇宙ビジネスビックバン
 現在の世界規模の宇宙産業が30兆円と紹介され、5〜10%の成長市場であること、日本の宇宙産業は小さく、まだまだ成長できることが示されています。この中でイーロンマスク氏率いるスペースX(SpaceX)、PLANET LABS、BIGELOWなど、米国IT長者が宇宙産業以外から民間資金および人材を流入させていることが述べられました。ラウンチャー(打上げ業)、地球観測、通信、その他分野、日本ではソフトバンクのOneWEB投資など、速く、安く、リスク回避を目的に宇宙事業への投資が活発化しています。
 このような事業においては、スタートアップの意思決定や、経営層によるスピードと多様性大企業とベンチャーの共生も活発化しています。この動向として、日本での宇宙ベンチャーである「SPACETIDE(2月28日500人規模で開催予定)」も紹介されました。


(4)株式会社「ipace」(アイスペース)について
 「宇宙に生活圏を築く」ことをビジョンとして、将来的な月面の資源探査や採掘・輸送などを目指す計画と月面で採取する水や工業用金属、飲料水、酸素などを回収する計画が述べられました。低価格かつ高頻度の月面への輸送および探査システムを構築すれば、宇宙活動の拡大で、2030年に4兆円の宇宙ユーティリティ市場が誕生する戦略が述べられています。
 月での資源確保ができる場合、GEO(静止軌道)までの輸送コストが激減し、新たなエネルギー源となる可能性があるため、新たなサービスや新たな顧客を狙い、月面輸送、月面資源開発、資源利用を目的とし世界で宇宙資源開発競争が進行中との事です。月面基地開発動向や、欧州のESAムーンビレッジ構想、NASAそしてJAXAなど世界各国政府の動向や競合企業の動向、そして国内の政府による産業振興を見通して、システム・インフラ・政策/規制のデザインを行っているとの事でした。
 袴田さんより、「非常に難しいけど、その反面、非常に面白い分野で、やりがいを感じている」との思いを熱く語って頂きました。

福井の独自技術紹介中

 以上、宇宙産業へ参入先駆者の袴田さんより、イノベーションの背景、創出、現在のチャレンジ、将来の夢、そして仲間たちとの取り組みまでのご講演を頂き、セミナーを待ち望んだ受講者にとってはとても有意義であった様子です。講演の後には、福井県の独自技術なども紹介させていただく機会を頂きました。

リンク(下記のリンクは、FOIPからの外部リンクとなります)

2.プロジェクト紹介
 「宇宙」事業推進のために地域と協働する「ふくいPhoenixプロジェクト」計画について
 〜私立大学研究ブランディング事業計画〔文科省〕採択を受けて地元での産業化への期待〜
        福井工業大学 工学部 電気電子工学科 教授 中城智之 氏

 福井工業大学の中城智之教授より、表記のプランが説明されました。
 平成28年から32年度の取り組みの中で、【A】宇宙研究軸(衛星利用研究の推進)、【B】観光文化研究軸(宇宙を題材にした地域イメージアップ)、【C】地域振興研究軸(宇宙関連産業の育成)を主たる目標として、福井工業大学生の超小型衛星計画「PHOENIX」(6U、8kg)を開発し、PHOENIX-1計画では2018年12月までに、PHOENIX-2計画では2020年12月までに国際宇宙ステーションへ輸送、その後、数か月で放出する目標が説明されました。
 構造系(構造設計、筐体設計)と電子系(基板化)について、ふくい宇宙産業創出研究会との共同研究・試作・開発案件が提案されています。

福井工業大学中城教授

6U衛星ミッション

 

日時・場所

日時:平成29年1月27日(金) 13:30−16:30

場所:福井県工業技術センター 講堂

主催:ふくいオープンイノベーション推進機構/ふくい宇宙産業創出研究会

研究会活動に関する問い合わせ先

 (公財)ふくい産業支援センター
   オープンイノベーション推進部 技術経営推進室 松井、山本
 福井県工業技術センター
   新産業創出研究部 レーザ・電子線G 末定(すえさだ)
 
 〒910-0102  福井市川合鷲塚町61-10
 TEL:0776-55-1555  FAX:0776-55-1554 Mail:foipアットマークfisc.jp

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